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29 6月

ニューヨーク移住のお知らせ      坂 達也    2012年6月29日


ニューヨーク移住のお知らせ

 

坂 達也

 

先日6月初めに10日間の日程で、私たちホノルル在住の家族三人はニューヨークに住む私たちの息子夫婦を訪ねました。主な目的は、彼らの間に3月末に生まれた男子、私たちにとっての初孫に会いに行くことでした。

息子夫婦が名付けた初孫の名前はマイロ、下記は彼の写真です。

実はこの息子夫婦が出産前の一月にハワイに来た時に、彼らは共稼ぎで日中は子どもの面倒を見る人がいないと言うことで、私たちに子守に来て欲しいと頼まれておりました。これに対して家内もしばらく返事を保留しておりましたが、二人で祈った結果、私たちがニューヨークに少なくとも一年間移り住むことがはっきり主の御心であることが分りましたので、行く前から移ることを決心しておりました。

そんな訳で今回の訪問は移住のためのアパート探しも目的の一つでした。息子夫婦も狭いアパート暮らし、そこに私たちが同居することは無理と言うことで、できるだけ近いところにアパートを探すことになりました。

 

場所はマンハッタン島の東南下部にあり、チャイナタウンに歩いて数ブロックと言う、買い物に便利、それでいて比較的静かな住宅街です。そこはニューヨーク独特の古いレンガ建ての高層アパートが立ち並び、大きな樹木に恵まれた公園も散在します。都会のど真ん中に住むにしてはまずまずな場所という印象を受け、私たちも気に入りました。

 

日曜日には早速家族で同じローアー(下部)・マンハッタンの西側に位置する例の9・11で崩れ落ちたツイン・タワーの直ぐ近くにある教会にバスに乗って出掛けました。息子夫婦が今参加しているところです。惨事が起こった時はツイン・タワーだけでなく周りのビルも被害を受けたのですが、その被害を受けて最初に再建築されたモダーンな高層ビルの40階にその教会はありました。「リバー」という名のその教会は、若者中心の60人程の集まりでしたが、ウォール街が真下にあり、建築中のツインタワーも直ぐ傍に見えていました。ハドソン川、イースト・リバーという二つの川に挟まれ、ニューヨークの東と南の地区が一望に見えるという圧倒されるようなすばらしい景観でした。

 

ハワイの田舎住まいから、いきなりニューヨークのど真ん中に移り住むことになり、そこで最初に礼拝した場所が、アメリカ経済を動かすウォール街とツインタワーを含む世界でも有数な高層ビルの立ち並ぶ場所ですから、私は思わず神を見上げて祈りました。アメリカ経済が間も無くこの地区から崩壊するかもしれないという時期にこの地に送られて来たことに対して深い感慨を覚えました。

 

私は今、家族が親しく寄り添って生きることの大切さをひしひしと感じています。私たちの場合、二人の子どもが育って立派に自立している後の年寄りに何ができる訳ではありません。しかし私たちが未だ責任を果たさねばならないことが一つあるように思います。それは神に頼って生き、神と共に歩き、神に訓練される生き様のよい手本を示すことです。

パウロは「私に見習いなさい」と言っておりますが、私たちが家族に残す遺産があるとすれば、キリスト者として信仰で生きるそのよい模範を残すことであると思います。勿論彼らのために毎日祈ることの大切さは言うまでもありません。

 

私は今回息子たちの助けでアパートを色々見て歩きましたが、そのほとんどが一人の不動産エイジェントが持って来た物件で、彼は本当に丁寧に案内してくれました。ところが、ある物件に私たちの関心が集中して来た最後になって、彼は息子に彼のコミッションは一年間私たちの払う毎月の賃貸料の15%であると洩らしました。私たちはハワイの常識では賃貸料の一か月分を家主側だけが払うと了解していましたし、息子は今までに同じ地区でアパートを三度移っていますが、どの場合も(別の不動産店を通してでしたが)一か月分を支払って来ていましたので、私たちは少々びっくりしました。しかもそのことを最後の最後まで言わなかったことで少々「カチンと来た」訳です。問題はそれに対するリアクトを一番大きな声でしたのが私であったことです。

息子は友人たちに聞いてみるとニューヨークでは15%要求するエイジェントも多く、それも常識になっていると言うのです。私たちは結局どの物件ももう一つということで決めずにハワイに帰って来ましたが、途中で私は、自分がエイジェントに対して(本人にではないにしても)家族の中で一番批判した非に気が付き悔い改めました。イエス様だったら何と答えたか―恐らく値切ったりしないで快く払うと言われたでしょう。イエス・キリストは勿論、そのからだの一部である私たちクリスチャンは決してお金に困っているのでありません。むしろ有り余るほどの財産がある方が私たちの面倒を見て下さっているのですから、必要と思っている人に逆にふんだんに分かち与えるのは当たり前であるはずです。

私は自分がビジネスをしている時の自分中心の考えに基づく「貧乏根性」がつい出て来てしまった、しかも子どもたちの前で誰よりも早くこの世的な思いを口にしたことに恥ずかしくなりました。早速翌日息子に電話し、15%喜んで払う気持ちであることをそのエイジェントに伝えて欲しいと言いました。

 

その後、息子は自分の引越しを三度世話してくれた不動産店に念のため電話してみると、他によい物件があり、結局その店を通して、彼らのアパートの真前にあって道路に出なくても庭沿いに歩いて行ける同じ系列のアパートに空いたところがあり、見て来てよかったと報告がありました。私たちはすべて息子夫婦に任せると伝え、その1LDKのアパートの持ち主も同意しましたので私たちはそこに決めました。目下その物件の賃貸手続きに入っております。

 

今回私たちは毎日の出来事とその進展につれて「神に聞く」ことを実行し、子どもたちと共によく祈りました。ある時は最初の方で一度見た瞬間に私がこれは駄目と判断した物件に対して、主からそれを見直すようにと言われましたので、私はそれを家族に告げて再度見に行きました。すると最初の印象とは違って自分でも吃驚するほどによく見えたのです。娘は最初から私の見方が正しいとは見ていなかったようで私が神に言われたことを打ち分けた時、にこにこしながら「私もそう言ったでしょう。」と私の早計ぶりをたしなめられました。

 

今まで家族で何かを決める時に私の頑固さがネックになったことが何度もあることを家族はいやと言うほど経験しており、私も長年のうちにそれに気が付かされて来ましたので、今回私が出来るだけへりくだって神を前面に持ち出す殊勝な態度を取ったことに対して神は報いて下さったのでしょうか、ホノルルに帰ってから神はすばらしいことをして下さいました。それは、次に最大の難関であるホノルルの私たちのマンションを一年間人に貸す相手を探さねばならないのですが、私たちの状況と要望にすべて応えてくれる理想的な相手が、探す前にポッと与えられたのです。それは全く降って沸いたようでした。

私たちの要望とは、先ず私たちの家具調度品を出来るだけ居ぬきのままでそのまま使ってくれる相手を見つけることです。ホノルルでは期間が一年以上となるとほとんどの場合、自分の家具を持ち出し、すっかり空き家にして貸すのが常識と言われていました。もしそれをしなければ貸す相手が見つからない、あるいはしばらく時間が掛かることになりかねません。となれば、その持ち出す自分の家具を運搬して貸し倉庫に一年入れ、それを又持ち帰らねばなりません。そうとなると、その運搬費と倉庫代で何千ドル、もし捨てて新しく買い換えてもやはり何千ドル掛かります。一方、ニューヨークへ運搬すればそれ以上の費用が掛かります。

そんなことでニューヨークへは最低必需品を私たちの乗る飛行機の預ける手荷物として許される限度(一人最大22キロの重量の荷物3個まで)1個20ドルで運んでくれる飛行機会社を選びました。それ以外の大きな家具類は現地で息子たちが買って支給してくれるというので助かりますが、本当に引越しはお金が掛かることが今回よく分りました。

 

私たちは息子の嫁のお産休暇が切れる7月24日までに現地に入らねばならず、理想的にはその日に入居してくれる借り手を見つけなければなりません。神はそのような人を探す前に、娘の不動産の仕事の中から与えて下さったのです。どうしても8月前に出なければならなくて困った家族が出て来たのです。その人たちに娘が私たちの家が空く話をすると飛んで見に来てくれ、一部の寝具だけ持ち込む以外のものはほとんど居抜きで使ってくれる、それが有難いと言う願ったり適ったりの相手でした。値段も娘が提案する「両者に公平な値段」を喜んで受け入れてくれ、私たちにとってもそれは望みの申し分のない値段でした。話は即座に決まりました。

私は神がこの人たちを用意していて下さったことに間違いないと確信を持ったのは、この提示値段が両者が共に感謝する値段で、しかもそれを娘が提案して一言で決まったことからでした。又、私たちが持ち出さねばならないベッドルームの家具とか、その他の多くの調度品等は、私たちの親しい友人の皆さんが快く預かって下さることになり、これもすべて主の導きであることに心から感謝しております。

 

それに加え、ニューヨークで住むアパートの家主とホノルルの家の借り手が同じ日に快く同意してくれて契約が実質的に成立したことも奇跡のような神のすばらしい御業でした。それが又、私たちの子どもたち二人が両端で契約にこぎつけてくれたのですから、本当に私たちは「神の家族」として、すべて神のお手配で事が運ばれたことに感謝の心で一杯です。

 

私たちの今回のニューヨーク行きは、神のご計画であり、孫の面倒をみる以上に、ミニストリー的にも特別な任務が与えられることを私たちは予期しております。しかし、たとえそうではなく、単に老いた爺さんと婆さんが孫のためにえんやこらと出掛けて行って親子三代が睦まじく共に住むようにして下さることだけが愛の神様のお取り計らいであるとしても、それこそ最高の祝福と恵みであると心から主に感謝しております。

 

クリスチャンになる最大の祝福と特権とは、一言で言えば、永遠の神の家族に入れていただき、神と永遠に楽しく暮らすことであると思います。そのために、私たちは神の愛をもっともっと知らねばならないと思わされております。そして神にふさわしい子にしていただくには、神のひとり子イエス・キリストを信じて「神の子イエス」の一部となった私たちが、本当に「キリストに似た者」にならねばならないこと、そのクリスチャンとしての責任を今回ひしひしと感じております。それが私たちの最終的で最高のデステニ-ではないでしょうか。

そのために神は私たち人間に家族を与え、この世で人間が皆、家族として愛し合って生きることを願っておられます。それは神の子になるための最も重要な訓練であると信じます。その目的を持ってこの7月23日に私たちはニューヨークに向けて出発します。

そんな訳で今、家の中はおもちゃ箱をひっくり返したような状態です。もって行くもの、置いて行くもの―倉庫あるいは友人に預かっていただくもの、捨てるものに分ける作業をしております。その後に、補修すべきところの修理作業に入ります。どうぞ皆様、私たちの後に入られるご家族のため、又ニューヨークで過ごす私たちのために今後とも一層のお祈りをお願い申し上げます。(終り)

 

 

 

 


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